100万人の心の緑化作戦
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名言紹介


【名句031】菜根譚より
執理の病は医し難し
【意】 理屈に執着する病は、治療が困難である。
【解】  執理とは、偏った理屈や価値観を無意識のうちに心の鉄格子の中に閉じこめることです。目に見えない鉄格子であるので本人に囚われの自覚がなく、大変治療が難しい心の病となります。
 仕事・勉強・宗教は自分をぶち込まなければ本物になりません。ぶち込むほど真剣になるから、成長の段階に応じて自分の心に合点が生じます。最初の合点で満足してしまうと自惚れが出て、後の成長が小さくなります。自己執愛・家庭執愛・自社執愛が自惚れ菌を生む土壌となるのです。年賀状に「教育界の変革のために全力投球……」と嬉しい言葉がありました。不思議と大きなロマンに取り組む男には、自惚れ菌が付着しないものです。
 禅宗中興の祖である白隠禅師も、二十四才の時に自己の見性悟道に自惚れて埋没しました。幸いにも道友宗格の縁で信州飯山の正受老人に謁することができ、「何のために法を求めるか」との問いに「地獄の苦しみからの脱却です」と返事をしたところ、師匠正受老人から「自領の漢!」と大喝されました。自領の漢とは、自分のことだけを考える男のことです。
「目覚めよ!自領の漢。御主の胸中に大気あり」(巌海)


【名句032】菜根譚より
桃李は艶なりといえども、松蒼柏翆の堅貞なるにしかんや
【意】 桃や李の花は艶やかであるが、常時色を変えない松のあお(蒼)や柏のみどり(翠)の堅固さには及ばない。
【解】  田舎住まいの父が生前こんなことを言っていました。「紅葉する山は、人間でいえばお世辞や機嫌取りの山だ。都会の人は紅葉を喜ぶが、紅葉する山は雑木ばかりで値打ちがない。檜山や杉山が一番だが、柱としては痩せ山の北側斜面の木が一番である。木でも人間でも苦労と同居していなければ一人前とはいえない」と。
 自分も他人も共に一回限りの人生ですから、縁あって同じ学園という職場を共にする者の「本当の意味での人生の幸せ」を願っています。教職員の中には卒業後直ぐに助手になる者もいます。優秀な人物なので助手として採用するのですが、年若くして「先生!先生!」と呼ばれて心地よい環境の中で生活することになってしまいます。木に例えるならば日当たりの良い南側斜面で成育することになります。教育者の宿命ともいえますが、公務員や大企業の社員も恵まれた環境に埋没してしまうと、人生が甘くなる危険があるのです。
 どうか古典に学び、異文化に学び、大自然に学んで自分を律して十分に成長して欲しいと願っています。


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