100万人の心の緑化作戦
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名言紹介


【名句205】言志四録 より
動天驚地の極大の事業も、すべて一己より締造す。
【意】 天を動かし地を驚かすような大事業も、自分一人の志から生まれ出る。 通常は「驚天動地」という。
【解】  天下の大河も一滴の水玉より生まれます。そして幾筋かの流れが集まり、せせらぎと淀みを繰り返し、次第と大河の風格を成します。人間社会も同じく、一人の人間の志が心を同じくする者の共感を呼び、一つの事業が起こります。そして何回かの苦楽を繰り返し、天下の大事業へと成長するのです。
 起業家の精神として、一斎先生は「士は己に在るものを恃むべし」と説きます。何もないところから新事業を起こすのですから、最初から知己縁故・他人の財力などを当てにするような他力本願では、実業は育たないということです。
 己にある何を頼りにするのでしょうか。それは鍛錬された自己の品性です。菜根譚に「徳は事業の基なり」とありますが、片時も怠ってならないのは品性の鍛錬です。創業時には脇目も振らずに頑張るのが常ですが、事業が軌道に乗りある程度の余裕ができると驕りと自己愛が生じます。驕りと自己愛はその者の判断と行動を誤らせます。しかし、品性鍛錬の日常生活をする者には、この隙が生じません。


【名句206】言志四録 より
慢りは長ずべからず、欲はほしいままにすべからず。
【意】 おごりを増長させてはならない。欲望もおもむくままにしてはならない。
【解】  自分への認識が高すぎることを『増上慢』といい、認識が低過ぎることを『卑下慢』といいます。増上慢は自信過剰からくる傲慢さですが、もともと元気があるから扱いはよいですのですが、卑下慢は自信喪失が原因ですから始末が悪いものです。
 永平寺第二祖の懐奘禅師には『光明蔵三昧』という名著があります。その中に「各自に分別を生じて、それがし本より暗昧の衆生なり、無智の凡夫なりとのみ、卑下し自限し」とあります。各人が間違った先入観で分別し、自ら能力のない無知な平凡人間と卑下して、自己の能力を限定する・・と嘆いています。更に「大教を聞くといへども、他の境界とのみ習学して、全体に参徹せず。却って云わく、我は非器也、初心也、晩学也、・・旧見己見を放下せず」とあります。立派な教えを聞いても、及びもつかない別な世界のこととして考え、教えのすべてを理解しようとする迫力を持たない。かえって種々の言い訳をして、先入観や独善的な考え方から脱却できない・・と警告しているのです。


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