100万人の心の緑化作戦
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名言紹介


【名句265】言志四録 より
火滅し、水涸れ、人死す。皆跡なり。
【意】 火は何時かは消え、水は何時かは乾き、人は何時かは死ぬ。これらの事実は大自然の摂理の足跡である。
【解】  遠くから眺める大河は、静かにゆったりと流れます。近付いて川面を見ると、泡ぶくが現れては消えて行きます。意外に早く流れる泡ぶくに、過ぎし月日の早さを覚え、どれほど続くのか分からない未だ来たらざる年月を測ります。泡ぶくのはかなさに我が身の無常を感じます。無常とは、一瞬たりとも留まりがなく次々と変化することです。
 道元禅師は「志の至らざることは無常を思わざるが故なり」といいます。志が実現できないのは、人生の残された日々が刻々と消滅するという自覚がないからだというのです。誰もが生命の保証を与えられていませんが、自分だけはもう少し生き永らえると予想します。この予想が間違っていなかったから現実に生きており、今回も大丈夫だろうと自信を持ちます。実は大丈夫という安心感が、志の実現に向けての心の甘さを生むのです。
 だから、明日は死ぬかもしれないという緊張した気持ち(無常観)を持って頑張りなさいという教えです。
「無常を感じて、日々の充実が生まれる」(巌海)


【名句266】言志四録 より
仮己を去って真己を成し、客我を逐うて主我を存す。
【意】 仮物の自己を捨て真実の自己を発見し、お客様気分の自己を追放して本当の自己を確立する。
【解】  ある朝、この原稿を書いているとどしゃ降りになりました。我が家の隣を流れる農業用水路があふれ、水が敷地境の土手にまで達しました。軟弱な土手ですから家の主としては心配で、雨を降らせる天の神様と用水を恨むことになります。
 しかし、雨が降ることは地球誕生以来から至極当然ですし、雨を運ぶ用水路も我が家を建てる数十年も前に完成しています。三者を比較すれば、天の神様も用水も随分と前からの先輩住人で、一番遠慮しなければならない新米住人は我が家です。どうも人間は損得に引きずられて本来の自分の立場を見失う習性があります。
 生まれた時には清浄無垢な人間も、次第に知恵が付き様々な先入観を持つことになります。自分に付着した価値観で物事を判断しているうちに、いつの間にか真実の自己は消えて仮物の自分を本物と錯覚します。体の汚れを毎日洗うように心の汚れも毎日落とさなければいけません。これを『一日一坐の自己清浄』といいます。


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