100万人の心の緑化作戦
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名言紹介


【名句277】宋名臣言行録 より
物の成毀も、自ら定数あり。
【意】 一つの形ある物ができ上がることも壊れることも、その物に定まった運命がある。
【解】  大切な玉杯を割り慌てる臣下に、宰相韓埼が慰めた言葉です。形ある物は必ず崩れ、人の命にも限りがあります。運命とは、運ばれ流れる受け身の命です。高価な玉杯もいつかは壊れ、吾が命も百年の寿命を得がたいのです。
 この変えようとしても変わらない大自然のリズムを諸行無常といい、このリズムに従って流れる運命を「自然領域の運命」といいます。自然領域の運不運は静かに逆らわずに受け入れざるを得ません。良寛和尚が「死ぬるときには、死ぬのがよろしかろう」というのは、この姿勢でしょう。
 これに対し「人間領域の運命」があります。我々の責任により切り開くことのできる因・縁・果の領域です。備わる因に前向き思想から生ずる努力の縁が付着すれば、望ましい結果が期待できます。反面憎しみや不満の縁を増長させれば、争いの世界や残念な結果を招いてしまいます。
「家族や職場も、社会や国家も、その形成者の気持ちのあり方や協力の仕方で、人間領域の運命が定まる」(巌海)


【名句278】貞観政要 より
主となりて貪れば、必ずその国を喪ぼし、臣となりて貪れば、必ずその身を亡ぼす。
【意】 貪欲な主君は国を滅亡させ、貪欲な臣下はその身を破滅させる。
【解】  人間の命には「誕生・育計・活計・老計・死亡」の五段三計があります。誕生と死亡は天与領域ですが、自分を育てる育計、自分を社会に活かす活計、晩節を処理する老計は、いずれも自分領域です。自分領域に共通する戒めは、掲句後半の個人の「貪欲の制御」です。
 法人企業も似たような「創立・創業・盛業・衰業・解散」の五段三業がありますい。創立と解散は法的な手続領域です。創業は人間でいえば育計で、様々な取引先との御縁で一人前の企業に育ちます。盛業は企業としての社会貢献ですが、自然の命と違い人為的な命ですから百年の盛業も夢ではありません。盛業を持続し衰業に至らしめない戒めは、掲句前半のトップの「贅沢の慎み」です。
 実は企業も短いサイクルで盛業と衰業の時期が繰返し訪れます。この衰業期の苦難に耐え得るかどうかは、その時までのトップの贅沢さの水準によります。
「贅沢や 貧者の道への 一里塚」(巌海)


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