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【名句289】言志四録 より | |
【意】 | 読書は、澄んだ心で正座して余裕の心構えで望むべきである。 |
【解】 |
読書の目的はどこにあるのでしょうか。読書量を誇ることでも難解な本に取り組むことでもありません。読書をした者が、読書を通して自分の人生や生活を豊かにすることです。 世間の一般的な読書法とは、目と頭を使って本を読むことです。本会の読書法は、一般的な読書法に加えて、手で書き写し、口で唱えて、更に生活の中で活用しようと試みる方法です。少し手間が掛かるが誰にもできることです。ベテラン会員の体験からすれば、筆で和紙に書き写す時が一番大切で数百枚で人生観が変わるといいます。 一斎先生には掲句以外にも読書に関する名言が多いです。「学を為すの初めは、大人たらんと欲するの志を立てて、書を読むべきなり」大人は社会に役に立つ立派な人。 「精神を収斂して聖賢の書を読み、聖賢の書を読みて精神を収斂す」聖賢は聖人賢人。収斂は引き締めること。 人には夫々に読書法があります。お互いに公表し、各人の読書法を向上させることができたら素晴らしいことです。 |
【名句290】言志四録 より | |
【意】 | 自分の主義主張が頑固になり、その主張を繰り返すようになると必ず弊害を起こす。 |
【解】 |
最近の個人的な発言や文章には「・・と思います。」という締めくくりが目立ちます。自分の意見の不備を突かれても「この考えは私だけの思うところです。貴方の意見は自由に考えて頂いて結構です。」となります。物分かりがよいのか最初からの逃げ道なのか判断の分かれるところです。 一方、自分の方が絶対に正しく相手に非のある時や同調者が多い時などに、正義感に酔って強硬意見を吐く人がいます。この種の人物は概して日頃から評判が芳しくないものです。相手の立場も考えずに徹底して攻撃する妥協のない性格が原因でしょう。 宗教家も自己主張が強いが、浄土宗開祖の法然上人には親しみを感じます。念仏の時に眠くなったら、の問いに対し「目の醒めたらんほどに念仏したまえ」と優しく返します。更に飲酒について問うと「まことにはのむへくもなけれとも、この世の習い」と物分かりがよいのです。この一言で酒好きの私などは浄土宗に改宗したくなるほどです。法然上人は大物です。 |
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