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【名句305】言志四録 より | |
【意】 | 権力者に近付いて自分の名誉を汚してはならない。 |
【解】 | この言葉の前に「非類に交わりて名を壊るべからず」とあります。非類とは友としてふさわしくない者のことです。 近くの飲み屋でけんかがありました。3人連れの若者が仲裁者を刺殺し、連れ立って逃走しました。誰かがナイフを持ち歩くことを止めていれば大事には至りませんでした。交遊関係も選ばないと自分の一生を狂わせ一族の名誉を汚すことになります。権力者である政治家や高級官僚にも妄りに近付いてはいけません。実業界にはこの種の人種と関わり合いを持つことが成功の秘訣と思っている人物も少なくないです。民間人の活動は長く、彼らの任期は短いから、一時的な権勢に迎合してもうまくはいかないものです。それ以前に権勢に迎合してうまい汁を吸おうとする根性が実業の精神に合致しないのです。この種の実業家と悪徳政治家や悪徳官僚が結び付き、税金を無駄遣いし、政治機構も官僚機構もだめにしてしまうでしょう。 学問に王道がないように、処世にも安易な近道はありません。『自らの道は自らが開拓する覚悟』が無ければ何をやっても失敗です。独立の気概が一番大切です 。 |
【名句306】言志四録 より | |
【意】 | 心は平穏なることが肝要である。平穏であれば自然に心は決定し、右往左往しない。 |
【解】 |
慌てる乞食は貰いが少ないです。ちょこまかした行動をとる者やせっかちな人間にも、幸せの神様は寄りつきません。折角人間として生まれたのですから、幸せが自ら集まるようなムードを造り出す生活習慣を身に付けたいものです。掲句以外にも「平穏な心の状態」を保つことを説く言葉が多いです。その中で代表的なものは、菜根譚の「心和し気平らかなる者には、百福自ら集まる」でしょう。 数少ない外国の友人の一人にL博士がいます。彼は西オーストラリアの僻地に生まれ、僻地向けラジオ放送を先生として育ち、苦学の末に博士号を取得しました。器用な男ではありませんが、大自然の環境に育てられた逞しさと近代教育がうまく溶け合って妙な安心感を与えてくれます。数々のアクシデントに出合った時でも、ちょび髭の口元から発する「NOPROBLEM」を聞くと安心します。喜びや感謝には敏感ですが、困難には動揺の素振りを微塵も見せません。ある意味では「平らなれば定まる」の外国版です。 |
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