100万人の心の緑化作戦
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名言紹介


【名句309】老子 より
禍は福のよる所、福は禍の伏す所。
【意】 禍は幸福が寄り添う所、福は禍が潜んでいる所 。
【解】  失恋(禍)の時のように人生には手の打ち様がない辛い状況がしばしば訪れます。この場合には逆らわず「時の流れ」に身を任せよといいます。なぜなら、世情は千変万化の諸行無常の法則に支配されるため、必ず次の変化が起きるからです。更に厳しい暗転であってもその分諦めの決断が早くできるし、次なる恋愛(福)の出発点になるかもしれません。
 諸行無常の変化の法則は、熱烈な永遠の恋仲(福)を夢見る恋人同士にも目こぼしをしません。永遠の恋を願った瞬間から心のどこかに破局の不安の種(禍)をそっと忍ばせます。
 このように「禍福は糾える縄のごとし」といわれ、禍福反転は人生の常道です。だから無理をしないで「時の流れ」に任せることも「柔弱謙下」の生き方の1つです。
 ところで「時の流れ」というものは不思議です。過中の当事者にとっては「失恋は身を焦がされるより辛し」といいますが、時が経過すればその辛い失恋が逆に懐かしく人生の宝物のようなものに思えてくる時があるのです。
「懐かしや 禍福のなみだ 流したる 萌えぎし日々の 想い出の女よ」(巌海)
 

【名句310】老子 より
それ正無し。正もまた奇と為り、善もまた妖と為る。
【意】 人間界のことで究極の正は無い。時代や立場が変われば正も邪になり、善も悪になり得る。
【解】  日本から地球上で一番遠い場所は、2万キロの彼方にあるアルゼンチン沖です。両地の距離は客観的な天地自然の物差しで計りますから、どちらからも2万キロです。日本人にとっての表側はあくまでも日本であり裏側が彼の地となりますが、彼の地の人々にとっては自国が表側となります。自分中心思考により正しいと思うことは、立場が異なるとしばしば正反対になるのです。
 宗教問題も同じで、大切な信仰も他宗の者には邪教に映る場合も多いものです。信仰の強制は争いを産み、歴史上信仰の正邪に固執した戦いがどれだけの命を奪ってきたか。
 老子は、人間界の正邪の判断に囚われるなといいます。不確かな人間基準を避け、「無為自然」に徹し、宇宙統御力を備えた「タオの道」に添って生きよと。そうすれば自分の基準で正邪や清廉を判断しないから、他人の信仰や考えを悪と批判することもなく、心を傷付けることも無くなるといいます。
「人間的我心を静坐により無我にすることを坐禅といい、天地自然の無為なるままの生活をタオの道という」(巌海)


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